近年では自動車関連・弱電関連では「三価クロメート」の使用が常識に近い状態になっています。
ここでは三価クロメートについて記述してみます。
従来のクロメート(六価)処理は六価クロムを使用するため、その毒性(主に発ガン性)について欧州の自動車メーカー労組から指摘があり、その後RoHS指令により環境負荷物質として六価クロムが指定され、欧州市場の製品全般、日本国内の家電業界が使用を廃止した事で、六価クロムの使用削減が一気に加速しました。
この代替策の一つとして処理施設・処理工程が六価に近い三価クロメート処理が注目されました。
三価クロメートは、当初六価クロメートと比較した場合いくつかの弱点がありましたが、薬品の開発と処理技術が進み、従来弱点と言われていた部分はかなり改善されてきました。
参考までに何点か経緯をまとめてみました。
三価クロメート処理の問題点(従来の六価クロメートとの比較) | |
・薬品代について | 開発初期に於いては、本文にある通り、三価クロムへの移行は欧州が先行しており、処理薬品の開発も欧州メーカーの方が進んでいましたが、その後国産の薬品も多く出てきました。 普及に伴いかなり価格は下がって「商品によっては以前の六価と同等」というレベルまで下がり、安定していますが、需要の少ない商品はまだ割高な場合があります。 今後は低価格化より技術開発に重点が置かれると思われます。 |
・耐食性が低い | 当初は六価と比べると耐食性が低かったのですが、薬品の品質向上により耐食性は従来の六価にかなり近づいてきました。 六価のように被膜の自己修復性をもつ薬品も出てきており、徐々に普及すると思われます。 |
・処理液により仕上がりのばらつきが大きい | 六価に比べPHや薬品の差の影響が強く色に出る三価クロメートは、当初はオペレーターが慣れていないこともあり仕上がりにばらつきが見られましたが、オペレーターも慣れ、工程を標準化することでばらつきはかなり少なくなりました。。 |
・色調について | 三価クロメート標準色は六価で言う「ユニクロ」に近いですがやや「クロメート」に近い色合いに変色することが多いです。 近年メッキ工場によっては「三価ユニクロ」として従来のユニクロに近い青白っぽい色調を用意している場合もございます。 その他六価のクロメート色に近い色調に仕上げた「三価イエロー」や、黒く着色した「三価ブラック」なども選択出来るようになりました。 尚、三価系のメッキは経年により変色することが非常に多いです。(三価ホワイトが経年によりクロメートのような色になる場合があります) |
将来的には(現状でも一部は)三価も使わない全くのクロムフリーの処理方法にシフトしてゆく方向性が打ち出されていますが、当面は三価クロメートが六価クロメートに代わりもっとも市場性の高い処理として扱われていくと考えられます。
弊社では小ねじ・タッピンねじやナットなどを中心に三価クロメート製品を数多く取り扱っております。
協力工場でも設備を導入しており、御希望の製品への処理も可能です。
その他の処理方法へのシフトも含め、お気軽に御相談下さい。